初めまして、12月に入社しました村川と申します。新人とは言え、年齢的にはかなりのオールドルーキーです。

下関生まれで、大学から横浜に移り住み15年間都会で暮らし、下関に戻ってきてから15年になります。大学卒業後は、写真スタジオでカメラマンをやっていました。撮影の仕事は体力的にもなかなか苛酷なところがありますので、現在撮影を一手にこなす社長のサポートとしても、戦力になれればと思っています。マーケティング部に所属していますが、まだまだ仕事を語れる域には達していませんので、お正月にちなんで富士山のお話をしたいと思います。

富士山

30歳になった時に、一度は登ってみたいと憧れていた富士登山にチャレンジしてみようと考え、会社の先輩後輩に声をかけてみると、「面白そう!」となり、5人で登ることになりました。まずはネットで情報を集め、見かけから入る?ことにし、アウトドアショップの集まるお茶の水に出かけて、ザックやら雨具、シューズなどを買い揃えて準備万端、意気揚々と出かけていきました。

5合目までは車で登れます。登山口に着いたもののあいにくの天気で、迷いに迷ったうえで、「いざ!」と登り始めたのが午後4時頃。かなり遅いスタートです。本来なら、ゆっくり登って8合目あたりの山小屋に泊まり、深夜に出発して頂上でご来光を拝む。というのが理想なのですが…

最初はペースもわからず、出発が遅かったので急いで登っていたのですが、途中の山小屋で「ペース早すぎ。高山病になるよ!」と注意され、ゆっくりと登って行ったのですが、そのうち、やたら人が多くなりました。後で分かったのですが、その日はたまたま某大手企業のみなさんが社内行事で、大勢で登っていたのです。

やたら人が多いうえに、所々にトランシーバーを持った人が立ち、「高山病で動けない者あり」などと連絡を取り合っています。渋滞が始まり、薄暗くなってきたのでここで泊まろうかと山小屋の門を叩くと、「今日は予約で満室です」さらに登ってたどり着いた山小屋も「満室です」事前に電話で確認した時に「夏休み前の平日だったら予約無しで大丈夫ですよ」と言われたので油断していました。

結局、本8合目にある山小屋にようやく空きがあり事なきを得たのですが、あたりは真っ暗、時間は21時をまわっていました。寒そうにしていると、ベテラン風のおじさんが「暖まるよ」とブランデーをくれて、カ〜っと暖まったのは良かったものの、3000m越えたあたりからジワジワとやってきた高山病の頭痛がひどくなり、早よ寝よと横になったもののなかなか寝付けず…午前2時半頃にはみんな起き出して、出発していきましたが、そんな気力はなく、山小屋の前でご来光を拝むことになりました。

8合目からとは言え、そこは山々を見下ろす別世界。天候にも恵まれて、絨毯のように見事に敷き詰められた雲海から太陽が顔を出すと、モノクロの世界が一気に染まり、きらびやかな黄金の世界。感動です。これは信仰心がなくても思わず拝んでしまいます。これまで、いくつもの山に登りましたが、やはり富士山の日の出は別格でした。

さて、登山は終わったわけではありません。頂上を目指すのですが、そこからは地獄、高山病の頭痛はつづき、息は苦しく、最後は牛歩戦術か?みたいな歩みで息を切らせながら、なんとか頂上にたどり着きました。もうグダグダで、力なく登頂の喜びを称え合っている僕たちの横で、60才は超えているであろう年配のグループが「かんぱーい!」と元気に生ビールを一杯やっていたのが印象的でした。

「2度登る者はバカ!」と言われる富士山。確かに登っている最中の景色は面白くなく、高山病のリスクも高く、まるで修行のようですが、星空と日の出は「一生に一度は見ないと損!」なレベルです。

この山登りで学んだのが、いっこうに頂上が見えなくても、どんなに苦しくても、一歩ずつ登り続ければ、必ず頂上にはたどり着く。そして頂上から見る景色は素晴らしい。何しろ、オールドですからあまりのんびりする訳にはいきませんが、素晴らしい景色を目指して、やや急ぎ足で、着実に歩を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。